彼女は予想の斜め上を行く
ことの真相を知った俺は、はぁっと大きな溜め息をつき再びテーブルに突っ伏す。

「ちょっと…真相解明したのに、なんで負のオーラを醸し出すわけ?」

解明しちゃったから、醸し出すわけで。

わかってほしい。

複雑な男心。

「俺って、ほんとカッコわりぃ…」

「は?」

「俺って、ただ先輩に張り合いたいだけの意地っ張りでお子様な後輩だなぁって……。それに比べて中島裕行っつー男は……お子様な俺のこと、見えないところで実はがっちりカバーして……イイ男だなぁ……」

先程までは、純粋に喜べた金本さんとの共同作業。

だけどあのイイ男の配慮により成立した出来事だと思うと、素直に喜べなくなっていた。

だからかな。

俺は、恨み辛み……なのかどうかは微妙だが、まぁとにかくグダグダ一人で喋り続ける実に面倒な男になっていた。

「天は二物を与えずなんて嘘っすね。だって、現に中島先輩完璧だし」とか。

「あんだけルックスもいいし仕事も出来るのに、性格までイイとか反則ですよ」とか。

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