彼女は予想の斜め上を行く
男のお喋りはみっともないって本当だなと思いながらも、一度喋りだすと止まらない。

テーブルに顔を乗せて、グダグダ喋り続ける俺の話を金本さんはただ黙って聞いていた。

我ながら、よく喋る。

ただ少し喋り過ぎたみたいだ。



「もう何もかも諦めたくなって来たなぁ……」

企画案のことも…。

金本さんのことも…。



―――この一言が、いけなかった。



バンッ!

それまで俯き加減でじっと俺の話を聞いていた金本さんが、テーブルに手を叩きつけるように置いて立ち上がった。

「かっ、金本さん?」

座ったままの俺は驚きながら、彼女を見上げる。

俺ではなく真っ直ぐ壁を見ている。

「………お」

思わず間抜けな声で「…お?」と聞き返した俺を見下ろして言った。

いや。あれは、叫んだという方が正解だ。
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