彼女は予想の斜め上を行く
「はぁっっ……」

幸せという幸せが、全て逃げていきそうな溜め息をつく。

「葵が『負のオーラがうつるから、話しかけるな』って言ったのわかるわ。あんた、負のオーラ半端ないもんね~」

半分ぐらいは間違いなく彩さんのせいなのに、相変わらず人目をはばからずに笑う。

「元気を出したまえ。チャラ男君!」

「……俺って、チャラ男に見えます?」


『うるさい!チャラ男』


金本さんに言われた言葉は、俺の中で少し引っ掛かってた。

「葵には、そう見えるかもね。あの女。自分のひいき球団同様、お堅いからさ~」

金本さんの贔屓球団は、《茶髪、長髪、髭》が基本的に禁止らしい。

そして、彼女自身も基本的に好まないらしい。

「でも、確かに襟足長すぎだし茶色すぎかもね」

彩さんの言葉に、ファミレスの窓に映る自分を見た。



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