彼女は予想の斜め上を行く
新しい課への配属。

慣れない業務。

調子を狂わす恋愛。

忙しなくて、振り回されて。

最近は髪型に気を遣うことも出来ず、襟足はやや長くなっていた。

若気の至りで若い頃ブリーチしまくったせいか。

髪色はマメにカラーリングしないと明るくなりがちだ。

惚れた女には好かれたいし、目に見える形で誠意を見せたい俺。

「髪、きろうかな…」と小さく呟いた。

「葵の好みに合わせたところで、あんたに勝機はないしそれだけで誠意を見せれると思ったら大間違いよ?」

………俺の周りは、エスパーだらけだ。

俺の真意なんて、いとも簡単に見抜かれてしまう。



狼狽える俺に、彩さんは突然あることを話始めた。

「葵、企画案に参加するの初めてなの」

「え?」

俺の抽象的な企画案を明確に作り替えた金本さんが、初の企画案参加者だなんて信じられなかった。

彩さんは、コーヒーを一口飲んでから話続けた。
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