彼女は予想の斜め上を行く


……やっぱり中島裕行は、イイ男だ。

でもこれ以上痛感させるのは、正直勘弁して欲しい。

ますます打ちのめされる。

ますます叶わなくなる。

これ以上俺を突き落として、彩さんはどうするつもりなのだろうか。

俺の考えなどやはりお見通しなのか。

「まぁ最後まで話を聞きなさいよ」と、小気味良さそうに笑った。



「見たんだって」

金本さんは見ていたらしい。

俺が企画案のために、食べ歩きに勤しんでいるところを。

「うわっ。見られてたんだ。マジで………」

男としては、惚れた女にあんな必死な姿は見せたくない。

そんなわけで、ヘコむ……。

「ヘコむな。ウザイ」という彩さんの言葉に余計ヘコむ。

「あんたのその姿見て、思ったんだって」



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