彼女は予想の斜め上を行く
「そうよね。ここで黙っとけば、更に面白くなるわよね…」

一人で納得して、一人で頷いた。

「前言撤回。ちょうのが、言う通り。葵が怒ってるのは、企画案のことよ」

「は?」

突然の言葉に間抜けな声を出してしまう。

「ちょうのったら、葵のことよくわかってるじゃん」

いや。

さっき俺のこと、めっちゃ鈍感扱いしてましたけど。

どういう風の吹き回しなのかは、わからない。

ただ、これだけはわかる。

俺が惚れた女のことで悩みに悩む姿を堪能するという。

イイ趣味をお持ちのイイ性格をしていらっしゃる彩さんは。

更なるイイ趣味もとい、悪巧みを画策しているに違いない。



「もう帰らなきゃ」

気が付けば、あとわずかで日付変更線が変わってもおかしくないような時刻だった。

「会計してきます」

きっと旦那である塩原さんが彩さんを心配しているだろうと思い、急いで会計を済ませ彩さんと外に出た。
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