彼女は予想の斜め上を行く
「諦めないこと……かぁ」
彩さんが去ったあと、ファミレスの駐車場でその言葉を呟いた。
ヘタレで。
単純で。
鈍感な俺だけど。
思い立ったら、行動せずにはいられなかった。
携帯を取り出し、ある人物へ電話を掛けた。
「あっ、もしもし。俺だけど。夜遅くにごめん。でさ、頼みがあるんだ」
俺が今からやろうとしていることは。
『そんなことで誠意を見せられると思うな』と彩さんに否定されたことだ。
だけど俺は形から入ることにしたから。
構わずやる。
「髪、きって欲しいんだけど」