彼女は予想の斜め上を行く
「あっ、やっと笑った」

「え?俺、笑ってました?」

どうやら、ケーキの味に思わずニヤけてたらしい。

「元気出た?」

「え?」

「甘いもの食べると、元気出ない?」

金本さんは、俺が消沈してたことに気付いてた。

さすがに自分の首筋についてるあの男の印が、悩みの種だとは勘づいてないみたいだけど…。


元気出た。

めっちゃ元気出た。

でも、それは君の気遣いのお陰。


「普通に商品化したくなるなぁ」

俺だけが食べるのは、もったいない。

店頭に並べる価値はあると思う。

「その内ね?」

嬉しそうに照れくさそうに金本さんは笑った。



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