彼女は予想の斜め上を行く



―――いよいよプレゼン当日。

ミーティングに参加出来ない金本さんと共に企画書を最終チェックする。

「当たって砕けてこい!」という金本さんの言葉に、砕けるのは頂けないだろと苦笑しながら開発課を出た。



「勇人。頑張ろうな」

「はい。よろしくお願いします」

ミーティングルームの前で、中島先輩に声をかけられた。

「そんな緊張するなって。課長も俺もフォローする」

イイ男というやつは、仕事も出来るわけで。

自らの企画案プレゼンと共に、俺のサポート役もこなすつもりらしい。

緊張のあまり惚れた女の首筋についた完璧な男の印のことは、頭から吹っ飛んでた。



小会議室。

コの字型に並べられたテーブル。

両サイドには、役員が各三名ずつ。

奥には、会長とその息子である社長が座る。

総勢八名の鋭い視線が、壇上に上がった俺と中島先輩に集中する。
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