彼女は予想の斜め上を行く
「冬に向けての企画案プレゼンを行いたいと思います」

新田課長の言葉を合図に簡単な自己紹介をして、いよいよプレゼンが始まった。



「お手元の資料をご覧ください」

俺の声に、皆一斉に資料をめくりだす。

「商品名は《la neige》。白い雪を連想させる濃厚で口溶けのよいケーキとなっています。上から一層目は、サワークリーム、クリームチーズ。そしてまろやかな甘味をだすために、カスタードクリームを使用しています」

熱心に資料に目を通す役員の反応は悪くない。

レシピは完璧。

あとは俺次第だ。

絶対に通してみせる。

固い決意のもと、着々とプレゼンを進行していく。



「表面及びサイドにはケーキクラムを。その上から表面のみ《なかない粉糖》を施します。小判型セルクルで65個。4号セルクルで12台。それ以外の大きさや形は注文を受け次第、随時製造予定と考えています」



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