彼女は予想の斜め上を行く
「先輩」

今度は俺が耳打ちする。

「俺、逆転のタイムリー打ちますよ?」

改札口付近で言ったあの言葉を。





「店頭に並ぶの楽しみにしているよ」

「ありがとうございます!」

笑みを浮かべる総勢八名のお偉いさん方に、新田課長と中島先輩と共に頭を下げその背中を見送った。

新田課長は一通り賛辞の言葉を述べた後、業者との打ち合わせがあるとかで会議室を後にした。

「抜かりねえなぁ」

二人きりになった会議室で、先に口を開いたのは先輩だった。

「ホントっすね」と俺は苦笑いする。

「やっぱ、あいつは予想の斜め上を行くな。良くも悪くも」

先輩の言葉に頷いて二人で会議室から出ると廊下に渦中の人物が立っていた。





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