彼女は予想の斜め上を行く
「正気だし。浮気したのは悪いと思ってるもん」

ここにもエスパーがまた一人。

表情に出過ぎる俺の心の声に、莉緒は答える。

「浮気相手とは、別れたし」

「当たり前だっつーの…」

道徳的且つ常識的なことを偉そうに話す元カノに。

呆れたり。

目眩を覚えかけたり。

「無理」

それでもヘタレな俺と言えど、ここは主張しとく。

「どうしてよぉ?」

小悪魔的上目遣いで運転席に視線を這わす。

「俺、好きな子いるし」

「誰?」

「莉緒には関係ない」

突き放した時には、彼女の実家前に着いてた。

獲物をロックオンした肉食系女子は、降車時にターゲットに向かって高らかに宣言した。

「勇人のこと、好き。あきらめないもん」

< 172 / 251 >

この作品をシェア

pagetop