彼女は予想の斜め上を行く
拒絶
肉食系女子の奇襲作戦が終了し、安堵した翌日。
昼休みの食堂。
俺は目的の人物を探して、周りをキョロキョロと見渡す。
見つけると定食の乗ったトレイを両手で持ち、歩み寄り声をかけた。
「ここ、いいっすか?」
顔を上げて「どうぞ」と笑顔で答えるのは、ここ最近接触することのなかった惚れた女。
俺にとって、今日は《好機の日》だ。
今カノ面する元カノは、本日先約有りで店舗にはもちろん目の前に出没することはない。
斜め上向き女の彼氏である完璧な男は、出張で不在。
「金本さん。今日、二人で飲みに行きませんか?」
邪魔者二名不在により、言いやすくなった誘い文句を告げる。
「企画案の採用祝い。しませんか?」
返事を待つ間、箸を握る俺の右手には力が入り、汗ばんでいた。