彼女は予想の斜め上を行く
浮かれている俺を見て、クスクスと笑う金本さん。

「じゃあ待ってるね。えっと……ちょうの君…だっけ?」

ズルッと音をたてて、すっ転びだくなるような彼女の発言。

急接近だなんて浮かれていたが、またまた彼女は俺の名前を勘違い。

「ながのです」

「あっ、そっか。ごめん。さすがにもう覚えたんで、大丈夫だから」



これから、名前どころかそれ以外のことまで覚えてもらえるぐらい急接近してみせる。

そんな決意が芽生えた瞬間だった。



その後、ものすごいスピードで仕事をこなした。

前もって言っておくが、適当にやったわけではない。

適当にやったら、ボツになるだけだ。

金本さんのありがたいお言葉により、潜在能力というやつを引き出されたに違いない。

「終了っっ!」

きっちり部数も揃え、まとめた資料を朝イチでチェックしてもらおうと中島先輩のデスクの上に置く。
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