彼女は予想の斜め上を行く
時計の針は、八時半を指していた。

当初の見通しより30分も早く終わった。

「俺ってば、超優秀♪」

ボソッと呟きながら、消灯、施錠を終え、上機嫌で部屋を出た。



金本さんの働く工房は、ガラス張りになっていて店舗から中が見えるようになっている。

おそらく、デモンストレーション的な意味があると思われる。

事務所の中からは、残念ながらそのような作りになっていない為見えない。

だが扉に小さな窓があるので、そこからヒョコッと工房内を覗いた。

真剣に作業している金本さんの姿が、目にはいる。

その姿は、職人という感じで凛としていてとても綺麗だった。

しばらくその姿に見いっていると、彼女が作業を一旦中断したようだった。

俺は工房の扉をノックした。

コンッ コンッ

「どうぞ」

「失礼します」

部屋に入ると、金本さんは真剣な表情を崩し柔らかな笑みを浮かべた。
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