彼女は予想の斜め上を行く
軽く重なるキス。

顔を上げると。

「ながの…くん?」

金本さんは、驚いて目を見開いてた。

それでも外れた箍は戻らない。

「葵」

「んっ……」

今度は深いキス。

拒絶されるかと思ったのに、抵抗されない。

余計に止まらない。

舌先も。
想いも。



「んっ……ながのくん…」

「葵。好きだ…。初めて会った時から、ずっと好きだった。……先輩と別れて俺と付き合って」

抱き締めて言った言葉。

グイッと強い力で、突然体を押し返された。

「葵?」

「無理だよ…」

潤んだ瞳で返されたのは、拒絶の言葉。

「あたし、裏切れない。付き合えない。裕行のこと好きだから」
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