彼女は予想の斜め上を行く
そこから、堰を切ったように話し出す佐藤よりも余裕で性格の悪さが滲み出てるマシンガントークを。
俺は相槌を打つこともなく、無言で聞いていた。
「なぁ~にが、『あいつヘタレでビビりなクセに、諦め悪いからな』よ!?あまりの転身の速さにビックリだっつーの!
それにあの元カノ。あっ、寄り戻したみたいだから、今カノか?とにかくあの女、あたしと目があった瞬間笑ったのよ?あれは絶対あたしに見せつけるためにわざとキスしたのよ。
長野君も長野君よ!ちょっと若くて胸がでかい女にヘラヘラして、何も言わないし。年下でビビりでヘタレで、本当にムカつく!」
そこまで言って葵は上がった息を整え、俯いて最近よく見せる今にも泣き出しそうな表情で言った。
「でも……自分より若くて可愛い女の子に僻んで…。長野君のこと陰で悪く言うのに…。それでも長野君のことが好きなあたしは……
もっともっとムカつく……」
葵は力尽きたかのように、テーブルに顔を突っ伏した。