彼女は予想の斜め上を行く

裕行side




―――あれから早くも二週間程が経過した。

業務終了後、俺は工房に向かう。

「頑張ってるじゃん」

「お疲れ。裕行」

本日一人で残り番だという彼女に声を掛けると、ある物の製作に没頭していた手を止めこちらを見て笑顔を見せた。

「それ勇人?」

葵が製作しているある物を指差し尋ねる。

「うん。激似でしょ?」

笑いながら、俺の目の前にかざしてきた。

「イケメン過ぎだな」

即答すると。

「え~?」と葵は眉間に皺を寄せ、自身の手で作り上げられたそれを改めてまじまじと見つめる。

「……う゛~ん。そうかも」

苦笑いして肯定した。

「だろ?あれだな。あの半端ないヘタレでビビりなオーラにかけるな」

「じゃあ、こんな感じ?」

そう言って葵は肌色に着色されたシュガーペーストを手にとり、少しこねたあと手のひらで丸め始めた。
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