彼女は予想の斜め上を行く
「裕行」
「ん?」
「再来週よろしく」
「こちらこそ」
やっぱり絵になる美男美女の甘い甘い空気に、今度こそ胸の痛みから目を背けられない自分がいた。
「あの……再来週って?」
聞かなきゃいいのに。
聞く資格もないのに。
《再来週》というワードが、どうにもこうにも引っ掛かる。
先輩が立ち去った後。
返却物に不備がないかチェックする金本さんは、箱の中身から一旦俺に視線を移す。
「再来週コンクールがあって、あたしも出展してデモを行うんだ。裕行は研修も兼ねて手伝いに来てくれるの」
笑顔で話す彼女の視線から逃げるように、先程まで金本さんが作業していた台の上に目を向けると。
出展する物だと思われるシュガーペーストで作られた腕や顔などといった人形のパーツらしき物が置いてあった。