彼女は予想の斜め上を行く

「頼みがあるんだけど」


今大会の報告やその他雑談を適当なところで切りよく終わらせ本題に入る。

電話越しでも怪訝そうな声色と表情が容易に想像出来る人物に忠告する。


「お前二度も断ったら、どうなるかわかってんの？」


どうなるんだよ……と不服そうな声で訪ねる電話越しのそいつに、不敵な笑みを浮かべて脅迫紛いの予言を宣告してやった。


「断ったら、もれなく斜め上向き女の呪いが末代まで降ってかかるぞ？」





通話を終えた携帯電話を見つめて、満足したような…虚しいような…。

そんなどうしようもない感覚に襲われた。

それでもこれで良かったんだと自分に言い聞かせて、独り寂しく呟いた。


「後はお前ら次第だよ。頑張れ……」


我ながらどこまでもお人好しな呟きは、真夜中のホテルの一室に静かに響き渡った。