彼女は予想の斜め上を行く
「何やってんだろ…。俺…」

何に対してなのか自分自身でもイマイチわからない独り言を呟いていると、シャーッという音と共に試着室のカーテンが開かれ莉緒が再び姿を現した。

「とってもお似合いですよ~」

店員にヨイショされている莉緒は、やはり俺の反応も気になるらしく。

「可愛い?」

小悪魔的上目遣いで訊いてきた。

「すげぇ可愛いよ」

本当は、相変わらず上の空。

心ここにあらず。

それでも、笑顔だけはしっかり作り答えた。



只今、午後三時前。

休憩の為、わが社とも提携しているカフェに入った。

頭の片隅にちらつく程度だった作品展は、思考回路のほとんどを占拠するようになっていた。

「ねぇ。勇人の開発したケーキって、どれ~?」

「え?」

「勇人の作ったケーキ。食べてみたいの」

「これだよ……」

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