彼女は予想の斜め上を行く
そう言って指差したのは。

《la neige d'ete》

ラ ネージュ デテ。

フランス語で《夏の雪》。

《la neige》をアレンジしたケーキ。

「おいしい♪」

笑顔で絶賛する莉緒の食べているケーキを見つめていると……。

斜め上を常にいく。強気で自由奔放で。実はさりげない気遣いが出来て。ほんの少し不器用な彼女のことを沸々と想い出す。



『ちょうの…はやとさん…?』

初対面時。俺の名字を勘違いしてた。

『こちらこそ、ありがとう』

企画案が本採用されて。嬉しそうに。照れくさそうに笑ってた。

『長野君のこと。好きじゃない』

あの晩。もの凄い球威と球速で内角を深く抉った拒絶の言葉。

―――そして。

『絶対に来て欲しいの』

心までも射抜きそうな真っ直ぐな瞳で言われた言葉。

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