彼女は予想の斜め上を行く
だけど、そう思って向けた視線の先の彼女は……。

顔は真っ赤で、目の前の繊細な作品を作り上げた白く細い指先はカタカタと小さく震えてた。

そして普段の強気な瞳でなく、どこか自信なさげな潤んだ瞳で俺を見つめて。

「好きなの……」

今にも消え入りそうな小さな声で、再び想いを告げた。


勘違いでもいい。傷付いてもいい。内角抉られてもいい。

今動かなきゃ、俺一生後悔する。


「ながの…くん…?」

俺に突然強く抱き締められて、戸惑い狼狽える華奢な君の耳元で囁いた。

「ずっと諦めようと思ってた」

「え?」

「中島先輩の彼女だって、わかった時。諦めようと思った」

「うん……」

若干落ち着きを取り戻し始めた彼女は、俺の紡ぐ言葉に腕の中で小さく頷く。

「拒絶された時。絶対に諦めようと思った」

「うん……」
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