彼女は予想の斜め上を行く
「勇人?で?送り届けることになった後は?どうなった?」

面白くなさそうに話を聞いているわりには、続きは気になるようで。

俺は急かされ、続きを話し出す。





金曜日の夜。

「ごめん。お待たせ」

着替えを終えた金本さんが、工房に戻ってきた。

考えてみれば、俺は彼女のコックコート姿しか見たことがない。

私服は初。

シンプルなグレーと黒のボーダーのトップス。

カーキのショーパンの下にはレギンス。

足元は黒のパンプス。

挿し色っつーの?

首には、ピンクのストール。

髪型は、アップのまま。

シンプルだけど、すっげぇ。

「かわいいっすね?私服」

「そっ?さっ、行こっ」

彼女は、俺の言葉を否定することもなく素早く消灯、施錠を終えた。
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