彼女は予想の斜め上を行く
予想の範囲内だったが、実際言われるとヘコむ。

でも、めげない。

欲しいんだ。どうしても。

「彼氏、いるんすか?」

「……いる」

まぁ、こんなに可愛いのにいないわけがない。

だから、まだめげない。

「俺、離しません。金本さんが、頷いてくれるまで」

手に少し力が入る。

彼女は、俺と自分の腕時計を交互に見比べた。

「……わかった。出掛ける」

観念したように言う彼女。

「だから、離して?あと、変な所には出掛けないからね」

「変な所…?」

「ラブホとか?」

「ハハッ…。そこまで俺、さかってませんよ?」

金本葵は恥ずかしげもなく、あまり人前では言わないであろう単語を出す。



今日、少し距離を縮めてわかったこと。

金本葵は、物事をはっきり言う。
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