彼女は予想の斜め上を行く
これが、金曜に起こったことの全て。

あのあと、若干後悔した。

けれど一晩寝たら、憧れの金本葵との《デート》をゲットしたという事実が嬉しくなり《後悔》のこの字も今はない。

今朝金本さんに会った時、避けられたりしないかだけが心配だった。

だが、彼女は普通に俺に接してくれた。

そんなわけで、俺は上機嫌。



「ふ~ん……」

しかし目の前にいる完璧な男。中島裕行は、不機嫌。

話を聞き終えた先輩は、眉間に皺を寄せながらジョッキをあけた。

「なんか面白くなさそうっすね?」

「別に………」

中島先輩は、新しいジョッキに口をつける。

明日も仕事なのに、飲み過ぎなのでは……。

既に先輩の目の前には、たくさんのジョッキ。



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