彼女は予想の斜め上を行く
完璧な男は、目を座らせて言う。

「一緒じゃん」

いやいや。一緒じゃないし。

てゆーか、先輩めっちゃ酔ってないか?

目の座り方が、尋常ではない。



「ふたつめ。付き合ってもないのに、二人で出掛けるな」

「は?」

「金本は彼氏いるのに、強引に誘うなよ。勇人が原因で別れたら、どうするつもり?」


確かに、先輩の言っていることは間違っていない。

けれど俺が原因で別れたとしても、その程度の仲だったということだと思う。

それに俺だって、金本さんが欲しい。

そもそも、どうして中島先輩にそこまで言われなくてはならないのだろうか。

ひとつめの発言と言い、これでは金本さんの彼氏面だ。



「みっつめ。これは、質問」

イライラする俺の気持ちを知ってか、知らずか……。

完璧な男は、どこまでも淡々と話し続ける。

気づけば、彼は二本目を吸いだしていた。
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