彼女は予想の斜め上を行く
「ここ行って下さい」
目が完璧に座ってる男は、聞き覚えのない住所を運転手に言う。
「あれ?先輩って、実家住まいっすよね?」
「そ~だよ。あっ、今のは彼女の家~」
ニヤニヤとしたいやらしい笑みを浮かべながら言う。
「美人って、評判の?」
写メなどを見せてもらったこともないし、名前も知らないのだが。
先輩には社会人になってから付き合いだした彼女がいる。
普段は、あまり自分の恋愛絡みの話をしない先輩。
たまに酒が入って、テンションが上がるとノロケたりする。
なんでもものすごく美人で、ものすごく可愛いのだとか。
彼女のことについては、先輩からそれ以外聞いたことがない。
タクシーは、先輩の彼女の家へ向かう。
あれ?
タクシーが、走り出して十数分。
当たりをキョロキョロと見渡す。
なんだか、最近通ったような道だ。