彼女は予想の斜め上を行く
「どうしたの?」
「ん~?」
俺のとなりに腰かける葵。
流れ的に、キャバのことを聞かれると思っていた。
「裕行らしくないじゃん?」
でも違った。
うつむく俺の顔を覗きこみ、心配そうな表情を浮かべる。
「なにが?」
まだ酔いの醒めぬ笑顔を浮かべて、わからないふりをした。
触れて欲しくないから。
「……中島裕行は、月曜からこんなムチャなことしない」
本当にその通り。
週始めの月曜から二軒ハシゴして酒を浴びるように飲む。
その上、二軒目のキャバではキャバ嬢に言い寄る。
普段の俺なら、絶対にしないことだ。
それもこれもあいつのせいだ。