彼女は予想の斜め上を行く
そう。

目の前で、お上品に鯖の味噌煮を食べるこの男のような。

勇人は実際育ちがよくて、両親は共に医者で大学病院に勤務しているらしい。



「……なんすか?」

勇人を見ながら考え事をしていていたため、不思議そうにこちらを見る。

いかん。

今は昼休憩とは言え、まだ勤務中だ。

余計なことは、考えないようにしよう。

「なんでもないよ?」

何とか思考回路を切り替え、さっさと飯を食ってその後は業務に没頭した。



定時になり、帰り支度をし始めた時。

勇人に誘われる。

「先輩。飲みに行きましょうよ?」

勇人から飲みに誘われる時は、大概勇人が上機嫌の時だ。

当初は、週始めから飲みになんてかったるいと思った。

それに今日は、葵の家に行くつもりだ。

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