彼女は予想の斜め上を行く
……無理だな。

きっと葵に冷たくするし、めちゃくちゃにしたりする。

残念だが、今日は葵には会えない。

だからと言って、この後すぐ帰宅する気にもなれない。

それなら……。



「ご指名ありがとうございます」

長年付き合っている彼女に会いたいのに、会えない気持ちを紛らわすため。

大学時代からの後輩へのイライラを隠すため。

俺が頼ったのは、酒の力。

そして……。



「こんばんは。まどかです♪」

女の力。

ここは、キャバクラ。

天井にはシャンデリア。

目の前には、フルーツ盛り。

グラスの中の氷は、シャンデリアの灯りをキラキラと反射させながら少しずつ溶けていく。



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