彼女は予想の斜め上を行く
―――あれから、早くも1ヶ月が経過した。
先輩はやっぱり何もなかったかのように接して来たから、俺もそうした。
普通に飲みにも誘ってくれるから、一緒に行った。
さすがに中島先輩を通して、金本さんをリサーチするのはやめた。
そして、いつでも爽やかに笑い仕事をこなす完璧な男の心理を相変わらず読めずにいた。
金本さんとも今まで通り、食堂で会った時などに話す程度。
しかし常に近くに彼氏がいると思うと、どうにも話しにくいものだ。
お陰で、若干……いや、とっても強引に手にした金本さんとの《デート》の話を出来ずにいた。
それどころか最近は、金本葵のことを諦めるべきかと思い悩んでいる。
公私共に世話になり、憧れである中島先輩の彼女を好きになってしまった自分に罪悪感を覚えるし。
なにより、完璧な男に勝てる気が全くしなかった。
確かに数日前までは、そう思っていた。