彼女は予想の斜め上を行く
口喧嘩の産物②
ゴールデンウィーク、こどもの日、母の日。
繁忙期であるこれらの行事が過ぎると、洋菓子業界は落ち着きを見せ始める。
それは、わが社も例外ではない。
そんな5月後半の金曜日。
定時から間もない時間のオフィス。
中島先輩は、用があるとかで定時直後に去っていった。
金本さんと会うのだろうか。
こうして邪推するから、諦めきれないのだと自嘲気味に一人小さく笑った。
「ちょうの~。飲みに行かない?」
工房勤務。製造課所属の塩原彩さん〈シオバラ アヤ〉が、声を掛けて来た。
いわゆる《いい性格》をしていらっしゃる彼女は、俺のことをからかって《ちょうの》と呼ぶ。
金本さんと同期であり仲の良い彩さんは、金本さんが言い間違えたのを聞いていたらしい。
初めは「ながのです!」と訂正していたのだが、あまりにしつこいため放置しておくことにしていた。
繁忙期であるこれらの行事が過ぎると、洋菓子業界は落ち着きを見せ始める。
それは、わが社も例外ではない。
そんな5月後半の金曜日。
定時から間もない時間のオフィス。
中島先輩は、用があるとかで定時直後に去っていった。
金本さんと会うのだろうか。
こうして邪推するから、諦めきれないのだと自嘲気味に一人小さく笑った。
「ちょうの~。飲みに行かない?」
工房勤務。製造課所属の塩原彩さん〈シオバラ アヤ〉が、声を掛けて来た。
いわゆる《いい性格》をしていらっしゃる彼女は、俺のことをからかって《ちょうの》と呼ぶ。
金本さんと同期であり仲の良い彩さんは、金本さんが言い間違えたのを聞いていたらしい。
初めは「ながのです!」と訂正していたのだが、あまりにしつこいため放置しておくことにしていた。