彼女は予想の斜め上を行く
堀ごたつを挟んで向かい側には。

彩さんと旦那さんであり俺の営業課時代の先輩、塩原公平が「長野。久しぶり」と笑みを浮かべた。

俺も「お久しぶりです」と、会釈する。

俺の隣には金本さん。

金本さんを挟んで、完璧な男。中島裕行がいる。

俺と先輩の間に金本さんを配するところに、悪意を感じる。

完璧な男はこの並びを気にする様子もなく、「お疲れ。勇人」と白い歯を見せた。

「長野君、お疲れ。急に誘って、ごめんね?」

「いや。大丈夫ですよ?それより、入賞おめでとうございます!」

金本さんと彩さんは一週間ほどコンクールに参加していたので、こうして話すのは久しぶりだ。

「ありがと。さっ、乾杯しよ?」



「じゃっ、あたしと彩の受賞に

「「乾杯!!」」

説明はされていないが、どうやら金本さんと彩さんの入賞を祝う宴は金本さん自身の音頭で始まった。


< 65 / 251 >

この作品をシェア

pagetop