彼女は予想の斜め上を行く

「遅くなって、ごめんなさい！こんばんは～♪」

強引と言う言葉すら超越する三輪主任のペースに全員呆気にとられていると、一人の派手な女性が現れた。

明らかに《夜のお仕事ルック》の女性を前にして、三輪主任が同伴デートなのだと悟った。

「あっ！中島さん！お久しぶりです♪」

女性はパンプスを素早く脱ぎ捨て金本さんを押し退けたかと思うと、中島先輩の腕に自分の腕を絡めた。

｢えっ！？」と、狼狽える先輩。

「忘れたんですかぁ？まどかですよ♪」

夜のお仕事ルックな彼女は、牽制と嫉妬で大荒れだった先輩が口説いたキャバ嬢だった。

少し金本さんに似ていると思ったが。

本物を前にすると、全くの偽物であり格が違うことを痛感させる。



「中島さん♪今度こそ、ちゃんと連絡下さいねぇ～」

相変わらず腕に絡みつくキャバ嬢を上手く対処しきれず、「あ～……うん……」などと生返事をする完璧な男。

いや、違う。

完璧でない男。