彼女は予想の斜め上を行く
「金本こそ、お若いイケメン上品ボーイと随分楽しそうにしてたじゃん」

……三輪主任のことかな?

でも彼は若くもなければ、上品でもない。

イケメンの定義は人それぞれだとしても、確実に上品とはかけ離れている。

むしろ対極だ。

「……少なくとも、あんたよりかは、楽しいわ」

「ああ。そう。だから、この前家まで送ってもらったんだ?」

「はっ!?なんで、あんたが知ってるの!?てゆーか、そもそもあんたがあたしの徒歩通勤をバラすからじゃない」

「充分痩せてるのに、ダイエットとか馬鹿げたこと葵が言うからだろ!?」

人前では《金本》と呼ぶことに徹しているらしい男が、確かに《葵》と呼んだ。

「ダイエットじゃなくて、ウォーキング!有酸素運動で素敵なボディー作りよ!」

家まで送る……、ダイエット…じゃない有酸素運動で素敵なボディー作りのための徒歩通勤……。

……お若いイケメン上品ボーイって、もしかして……。

「じゃあなんでわざわざ勇人の車に乗ったわけ?好きなだけ歩いて帰れよ」
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