彼女は予想の斜め上を行く

過剰で異常

その翌日、約束の時間より少し前に駅北に着くと金本葵は既にその場にいた。

隙あらばナンパしようと企む野郎共にガンを飛ばし威嚇するその光景は、なかなか強烈だ。

それでも、女の威嚇に果敢に立ち向かう猛者は、やはりいるわけで。

俺の到着時も猛者の一人であるチャラ男に声をかけられている時だった。



「葵！ごめん。待った？」

その光景に苛立ちを覚えて、彼氏面して声を掛けてみたりした。

それまでかったるそうにチャラ男の足元を眺めていた視線は、俺に移された。

俺の言葉に驚いて、ただでさえ大きな瞳を更に見開く。

しかし、それも一瞬。

「大丈夫だよ？行こ？勇人」

次の瞬間には、金本さんは満面の笑みで俺の腕に抱きつき歩き出した。

俺と金本さんの後ろ姿にチャラ男が、「なんだ。連れがいるのかよ」とか言っていた気がする。

チャラ男から見えない位置まで来ると、俺の腕から離れ。

「ありがとう。助かった」と金本さんが笑った。
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