彼女は予想の斜め上を行く

「自己紹介の時に金本にみとれてた。だから、失敗した。違う?」

咳き込む俺も周りの視線も気にせず、平然と喋る中島先輩。

「……まぁ、確かにそうですけど」

やっと落ち着いた俺は、ボソボソと話した。

てゆーか。

「なんでわかるんすか?」

俺が金本さんに見惚れてたのって、そんな露骨だったかな?

まぁ決して一瞬だったとは言えないが、すぐに目も離したつもりだ。

その後、めっちゃどもったけど……。

……あぁ!なんか思い返したら、俺めっちゃ不審じゃん!

バレたかな!?

周りにも、金本さん自身にも俺が見とれてたことバレたかな!?

俺が、頭を抱え悩んでいると。

「安心しろ。金本は、気づいてないから」

中島先輩の一言に、俺は俯いていた顔をパッと上げた。

ホントに?
バレてない?

よかった……。

なんて、安堵の息をついたのも束の間。
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