彼女は予想の斜め上を行く



「ここって…………」

過剰で異常で斜め上向きな彼女に案内されて、ついに目的地へ到着した。

思わぬ場所…でもないか。

金本さんなら、さも行きそうだな。

まぁ鈍感な俺にしてみれば、思わぬ場所だから絶句する。

それでも、金本さんと繋いだ手の力を緩めることは絶対にしない。

もう手を繋がれても、何も言わなくなった彼女は、意気揚々と俺の手を引き満面の笑みを浮かべる。

「行こ?」

………可愛い。

まぁ、いいか。

俺、野球全然わかんねぇけど……。

金本さんと足を踏み入れたのは、彼女が過剰で異常な情熱を向ける某在京球団の本拠地であるドーム球場。

よくテレビとかで「ドーム5個分の広さです!」とかいうあのドームだ。

あの説明って実際にドームに行かないと……下手したら行ってもわからないような例えだと思う。

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