彼女は予想の斜め上を行く
「はい。長野君は、これ着て?」

座席に着くとやっぱり可愛い笑顔で、何かを渡してきた。

渡されたのは、一枚のユニフォームTシャツ。


ユニフォームを受け取った。

彼女は、いつの間にかピンクのユニフォームTシャツを着ていた。

そしてそのTシャツには……。

「はやと…?」

《HAYATO》の文字とでかでかと数字の6が記されていた。

「ショート…二塁と三塁の間ね。あれが勇人。長野君と同じ字、書くはずだよ」

金本さんの指差す方へ目を向けると。

ホーム側の選手達が練習している中に、確かに背番号6の姿。

俺達の座席は、三塁側に限りなく近い一塁側席の後列。

ここからだと勇人の顔立ちなどはわからなかったが、女性ファンに背番号6が多いことからイケメンなのだろう。

一方、俺のユニフォームは…。

「《ちょうの》?」

「《長野》って書いて《ちょうの》ね。センターだよ」

《H.CHONO》の文字に、背番号7。
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