彼女は予想の斜め上を行く
あっ、そうか。

だから、あの時……。


『ちょうの…はやとさん?』

移動初日に挨拶した時の金本さんを思い出した。

あれは、この背番号7のせいだったわけだ。

ユニフォームを半強制的に着せられたり、《ちょうの》と呼ばれた理由がわかったりしている内に。

スタメン発表が行われた。



埼玉に本拠地を置く対戦チームのスタメン発表時のことだった。

「三番 ショート なかじまひろゆき 背番号3」

そのアナウンスに驚いて、思わず電光掲示板を見る。

対戦チーム側のスタメンには確かに《6 中島》の文字。

6というのは、ショートのことを指す守備番号のことらしい。

「ビックリでしょ?同姓同名で、漢字まで一緒なの」

笑顔でそう言ったあと、少し寂しそうにポツリと呟いた。

「裕行……まだ怒ってるかな……」



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