槇名さんの真実



だから、噂は極力噂で留めておきたい。



真実なんて、センセイたちしか知らないんだから。



そんなことを考えながら廊下を歩いていると、




「佳奈未」




随分、聞きなれた声が聞こえた。



その方向に振り返れば、バスケ部らしいスポーツバックを斜めにかけて、単発の色白男がこちらに向かってゆっくり歩んで来る。




「亮平...相変わらず遅」



うっせ、と笑いながらポケットに手を突っ込んでこっちへ寄って、わざとらしくぶつかってきた。



「なに、」



色々、面倒くさくなって呆れかえって告げる。




「ちょ、冷たくね?」



どこが、と言ってやりたくなったけど、次の言葉を発する前に遮られた。




「だって、一週間ぐらい音沙汰ないっすけど」




そう言えば、そうだった気もする、かもしれない。というより、いちいち日にち数えてないし、ますます溜息吐きたくなる。



別に、毎日連絡する必要性がないし。だから?って今にも言いそう。それにこっちが何にもしないからって文句言われる筋合い無い気がする。



だって、亮平こそ連絡なんかしない。



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