槇名さんの真実



そして、すぐに笑顔を取り戻した彼女はいつものことながらベタベタと私にひっつきながら教室へと足を踏み入れた。




「おっ、佳奈ーイオーおはよ~」




私たちが席に着くや否や、いつものメンバーが駆け付ける。しかもなぜか、私の席の周りに皆が集まるのが毎日の習慣だ。



メンバーは全部で6人。恐らくクラスの中では一番うるさいグループであろう。まぁそれはさておき、数学の課題をやらねば。




「あっれ~、まーた佳奈の未ーちゃんは宿題やってこなかったんだ?笑」




にやにや、ケラケラ友人達にからかわれながら、イオのノートを必死に写す。




「いいのーどうせ矢野の授業まともに受けたって分かんないんだから」



矢野とは数学の担当教諭だ。もうかれこれ定年になるであろう、おっさん。いや、じぃちゃんだ。



はっきり言って、クラスの皆も彼の授業の評価は良くない。ひとりでに話して、ぶつぶつブツブツ何を言ってるのか全然聞きとれないのだ。



しかしながら、毎回授業の課題を出し、次回に当てる生徒を決めるもんだからこれが厄介なのである。




「たしかにぃ、矢野センはねぇ?ありゃ仕方ないわ」




こうしてるうちに、課題を写し終わり、伊織に礼を言う。私が終わったのを見計らって、他のメンバーが一気に私に詰め寄った。




「ていうか聞いた?」



「そうそうアレアレ!」



「ガチなんだから、超ビックリっ!!」




次次へと発せられる意味不明な話題に疑問が浮かぶ。





「去年いた、綾野!アイツ堤先生と結婚したんだって!!」







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