社長と秘密の生活
要が覗き込んでくる。
その優しい声と温もりで、心の底から安堵した。
身体に触れる要の感覚。
抱きしめられた身体から伝わる体温。
さっきの悪夢が夢だと勘違いしそう。
私を安心させようと要は抱きしめる腕を離さない。
私の震えもいつの間にか消えていた。
抱きしめる腕が緩み、要のぬくもりが離れて行く。
何だかなごり惜しい。
ずっと……抱きしめていて欲しい。
私の心が落ち着くまで……。
私がそんな想いを寄せていると、
要が心配そうに覗き込んでくる。
私はいつの間にか、大粒の涙を零していた。
要は私の乱れた髪を優しく梳いて、
優しく指先で涙を拭ってくれた。