社長と秘密の生活
10.愛の印
ハネムーンから戻り、いつもの仕事に戻っていた。
はぁ……早く帰りてぇ……。
愛おしい妻・杏花のいる我が家へ。
今まで仕事を早く終わらせたいなんて事、1度も思った事ないのに。
杏花と結婚してから、俺の生活全てが変わった。
今朝だって―――――
ピピピピッ、ピピピピッ。
―――ガサガサッ。
「杏花ぁ~、もうちょっと寝てろよぅ」
「ダ~メ。要はもうちょっと寝てていいからね?」
俺はベッドの中で杏花の温もりを惜しみながら
先程まで杏花がいた場所に手を伸ばす。
まだ……温かい。
―――ガチャッ、バタンッ――――
杏花はカーディガンを羽織って、寝室を後にした。
♪ ♫ ♪ ♬ ♩ ♫ ♪ ♬ ♩
微かに聞こえる杏花の鼻唄。
俺はまだ寝足りないようで…
再び、夢の中へ引き摺り込まれた。