社長と秘密の生活


「どうしたの?会社で何かあったの?」


急に抱きしめた俺に対して、心配そうに聞いてくる。


「何でもない。少し大きなプロジェクトを手掛けるから、しばらく帰りが遅くなる」

「そうなの……」


杏花の声が1トーン下がったのを俺は聞き逃さなかった。


「杏花は俺を待ってないで、先に寝てていいからな?」


俺は杏花の耳元で優しく囁き、頭を撫でた。


「私に出来ることがあったら、何でも言ってね?」


俺の腕の中で杏花は心配そうに俺の顔を見上げた。


「杏花はホント…優しいなぁ…」


杏花は俺の背中に腕を回して、ギュッと抱きついて来た。

俺も抱きしめ返すように、ギュッと杏花の身体を抱き寄せる。

フフッ、さっきまでの苛立ちがウソのよう。

抱きしめてると杏花から甘い香りと、俺の身体に感じる杏花の感触。

全てが杏花に浄化されてく……。


あぁ――たまんねぇ…。


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