社長と秘密の生活


「夜分に失礼致します」

「要に何かあったんですか?」


玄関には彼1人。

彼が来る時は必ず要もいるハズなのに。

どうして……今日は1人なの?

……何か嫌な予感がする。

胸の奥がザワザワして、落ち着かない。

胸騒ぎを静めようと胸元に手を当て、彼の顔を覗き込んだ。


「いえ、特に問題ということではないのですが。夜の会食で先方にお酒を勧められ断り切れず、多少飲まれたのですが……」


沢田さんが語尾を濁した。


「それで?要はどうかしたんですか?」

「ここのところ、連日の仕事疲れで酔い潰れてしまわれ、会食先のホテルにご宿泊されることになりました」

「よかったぁ…。酔ってるだけなんですね?」

「……………はい」


………えっ!?

何………今の間は一体、何??


< 183 / 557 >

この作品をシェア

pagetop