社長と秘密の生活
「会いたくて、会いに来たんだけど…嫌だった?」
杏花の耳元で優しく囁くと、
「………っう゛っ……っん…」
杏花はまた泣き出した。
「杏花、何で泣くんだよ…」
「………あ゛いだがったよぅ。あ゛いだがったげど、がなめば…ぢづるざんど、いっじょだっだでじょ?」
嗚咽交じりの涙声で聞き取るのが難しい。
「はぁ?昨日は工藤物産と会食だったけど、別に他には何もないよ?」
「だっでぇ、ぢづるざんど、ボデルにどまるっでぇ……」
「はぁ?誰が?何でそうなる。そりゃあ、会食の席にアイツもいたけど、別に一緒にホテルに泊まってねぇし」
「ボンドォ?」
ホント?って、沢田に何を聞いたんだ?
ってか、俺がアイツと浮気したと思ってんのか?
………だよな!??
これだけ取り乱した所を見ると、
完全に俺がアイツと寝たと思い込んでる。
……どんだけ、信じられてないんだよ。
俺ってそんなに軽い男に見えるのか?