社長と秘密の生活


「会いたくて、会いに来たんだけど…嫌だった?」


杏花の耳元で優しく囁くと、


「………っう゛っ……っん…」


杏花はまた泣き出した。


「杏花、何で泣くんだよ…」

「………あ゛いだがったよぅ。あ゛いだがったげど、がなめば…ぢづるざんど、いっじょだっだでじょ?」


嗚咽交じりの涙声で聞き取るのが難しい。


「はぁ?昨日は工藤物産と会食だったけど、別に他には何もないよ?」

「だっでぇ、ぢづるざんど、ボデルにどまるっでぇ……」

「はぁ?誰が?何でそうなる。そりゃあ、会食の席にアイツもいたけど、別に一緒にホテルに泊まってねぇし」

「ボンドォ?」


ホント?って、沢田に何を聞いたんだ?

ってか、俺がアイツと浮気したと思ってんのか?

………だよな!??


これだけ取り乱した所を見ると、

完全に俺がアイツと寝たと思い込んでる。

……どんだけ、信じられてないんだよ。


俺ってそんなに軽い男に見えるのか?


< 203 / 557 >

この作品をシェア

pagetop