社長と秘密の生活


「えっと…えぇっと……」


私は要の形相があまりに凄くて…

何も言えず、黙ってしまった。

暫く沈黙した後、静かに要が口を開いた。


「ごめん、杏花……。暫く、家から出るな」


要は真剣な眼差しで…


「えっ!?」

「悪いけど、当分の間…距離を置こう」


……距離を置こう?

それって……どういう意味??

…………別居ってこと!?


「どうして!?」

「…………」

「何で?私、何かした!?」


目頭が熱くなる。

鼻の奥がツンとして視界が歪んで見えて来る。


「いや、杏花は悪くない」


要は困惑の表情を…。

要を困らせたいワケじゃない。

ただ……状況が呑み込めないよ…。


「じゃあ、どうして?」


一気に涙が溢れて来た。

要と離ればなれなんて…嫌だよ。


< 221 / 557 >

この作品をシェア

pagetop