社長と秘密の生活
――――カチャッ。
突然、ドアが開いた。
「!?おはようございます。今朝は随分とお早いですね?」
俺の存在に少し驚きながらも挨拶をする沢田。
「沢田…。修矢が杏花に接触して来た」
「えっ!?いつですか!?」
「昨日。杏花は調味料を買いに外出したらしい」
「それで、どこで会われたのですか?」
「スパイス専門店らしい」
「杏花様の素性を把握しておられるご様子で?」
「いや、まだ分からない。杏花に名乗って来たらしいが」
「………」
沢田は無言で険しい顔つきになった。
「杏花は急に名前を聞かれて“佐久間杏花”と答えたらしい」
「そうですか…」
「どう思う?」
俺は沢田に率直に訊ねた。